nagato湯本温泉 長瑞庵

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温泉につかりながら語り合える話題と、温泉旅館のような居心地を提供したいブログ

赤か緑か

赤か緑か、と聞かれたら何の話題だと思うだろうか。代表的なものは、東洋水産の即席麵シリーズである赤いきつね緑のたぬきではないだろうか。人によってはポケモンのゲームソフトを思い浮かべるかもしれない。東洋水産といえば今年、武田鉄矢がマルちゃんのCMでギネス記録に認定されたことも記憶に新しい。

赤色と緑色というのは非常に似ており、見分けがつかない。何を言っているのかわからないかもしれないが、よく理解できる人も少なからず存在する。これは、現在は色覚多様性などと呼ばれているらしいが、一般的な診断名は色覚異常、一般における認知としては色盲という言葉で知られる症状である。

色覚異常といっても判別の付きにくい色の組み合わせはいくつかある(https://www.gankaikai.or.jp/health/50/10.html)。原因等については、リンク先の日本眼科医会から辿ることで知ることができる上に、医学について専攻しているわけでも興味を持つわけでもないので、専門の先生にお任せする。生きているうちに、なんとなく色の見分けが他人と違う、あるいは二色が隣り合っているはずなのに判別しづらいという経験をすることで、自身が色覚異常ではないだろうかと疑う機会が訪れる。以前は小学校で色覚以上に関する検査が行われていたが、2003年に診断されても学校生活を送る上で大半は支障なく過ごせることなどを理由に廃止されている。しかし、2016年より、再び原則的に検査が行われるようになったらしい(https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160412-OYTET50027/)。

自衛官などごく一部の職業については、色覚による採用基準を設けている。また、色の識別が必要とされる職業においては採用基準はないが、就職後に何かしらの問題を抱える可能性もある。子どもの将来を考慮して、このような判断がなされている。しかし、生活の中で特別に損をするケースというのは、他の遺伝疾患と比較すると少ないらしく、現実としてこのような症状を抱えて生まれてくる子どもの割合が日本人男子の場合でも約5%もいることを考えれば、納得であろう。もっと生活に支障が出るなら、人類の進歩の中でもう少し淘汰されてもいいと思う。

日常生活の中で困る場面もある。焼き肉をする際に生肉と火が通った肉の見分けがつきにくい人、UNOなど色分けされたカードゲームで色の判別がしづらい人、信号が見えにくい人、色を並べて色調を段階的にする場合に並べてみたらめちゃくちゃになる人など、さまざまである。

ユニバーサルデザインという言葉がある。障害の有無や度合いにかかわらず、多くの人が利用できるようデザインすることである。バリアフリーもこれに含まれるが、乳母車や車いす、大きな荷物を持った人でも利用できるように幅の広い自動改札機を設けることや、ピクトグラムを採用することは立派なユニバーサルデザインである。公共性の高い施設では、ユニバーサルデザインに基づいて設計されるケースも少なくない。

色覚異常においてもユニバーサルデザインがあれば、ということでカラーユニバーサルデザインが提唱されている。特に身を守る防災の観点からは今年、地震の危険度を表す地震地図においてカラーユニバーサルデザインを採用した地図を作成することを決定した(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48926400T20C19A8CR8000/)。おそらく、この調査報告に基づいてなされたと思われる(https://www.jishin.go.jp/main/seisaku/hokoku18d/s55sg67_3.pdf)が、ここでは色に対するイメージや配色事例を取り上げ、どのようにカラーユニバーサルデザインを取り入れた防災情報を提供するか検討されている。

色に関する問題を取り上げたが、色の見え方以外にも何かしらの異常や障害を抱えている人はいる。少しでも多くの人間が安全に生活しやすい環境が整備されるよう願っている。なにせ、台風19号が通過中なので。